板前修業中の給料は安い?料亭/個人割烹店の年収や生活コストの実例を紹介!

お給料が安いとされている飲食業界、そして和食の世界。

マンガ”味いちもんめ”では「下積み時代はお金がもらえるだけありがたいと思え」といったような感覚で描写されています。

しかし、果たして板前修行中のお給料は本当に少ないのでしょうか?

 

今回、関西と関東を転々として、料亭や個人割烹料理店を修行してきた、ライターのBORIより、お給料や生活コストの実例をご紹介させて頂きます。

 

全体で見る板前修業中の給料の相場・昇給推移

まず最初にですが、板前修業中は通常の会社員とは違い、十分なお給料をもらえません。

しかし今回の記事で詳しくご紹介するのですが、お給料は低いものの福利厚生などで生活が苦しいと思った時期はありませんでした。

 

また調理師全体でみれば、月給が25万円程度、年収は330万円が相場になっています。

参照:リンク

ただし、これは平均値なので、板前修業中に頂ける金額ではありません。

正直、お給料の変化はお店や地域によってバラつきがあるので、ぼくの例もあくまで一例なのですが、実例として参考にして頂ければと思います。

 

【地域別実例】板前修行中の給料推移

今回は、

  • 関東/料亭
  • 関西/個人割烹料理店

の2つの職場での

  • 雇用形態
  • 給料
  • 昇給/ボーナス
  • 休日/休憩時間
  • 実稼働時間

についてご紹介します。

 

【関東】料亭修行中の給料

雇用形態 正社員
給料 130,000
昇給 持ち場/在籍年数によって1万円ほど昇給
賞与 年2回(半月分ほど)
休暇 週休1.5日
福利厚生 健康保険
雇用保険
厚生年金

まかない
休憩 30分ほど/日
実稼働 400h/月

料亭くらい大きな規模になると、個人店ではなく株式会社などの”企業”として経営しているところが多い印象です。

 

【関西】個人割烹店修行中の給料

雇用形態 業務委託
給料 130,000(現金支給)
昇給 年1回10,000円
賞与 なし
福利厚生
まかない
(年金、健康保険は自己負担)
休暇 週休1.5日
休憩 30分ほど/日
実稼働 370h/月

個人店は個人事業主にあたるので、働いている人はアルバイトや業務委託の形にあたり、板前修業などで働いている人は正社員にはあたりません。

 

板前修業中に得られる福利厚生とは

実例でご紹介した通り、おこづかい程度とまではいきませんが、やはり一般の企業のようにお給料は頂けません。

しかし、福利厚生が充実しています。

福利厚生とは企業や店舗がお給料以外に従業員に与えるサービスのこと

福利厚生には”法定”と”法定外”があり、飲食業界では以下のような内容に分かれて受けられます。

 

法定福利厚生

法定福利厚生とは、企業が社員を雇用する際は導入しなければいけないものです。

以下のようなものが該当します。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 労災/雇用保険

 

法定外福利厚生

法定外福利厚生とは、各企業や店舗ごとに任意に実施することができるもの。

飲食業で言うと、以下のようなものが該当します。

  • 社食(まかない)

 

福利厚生”込”で考えるなら収入は料亭(企業)のほうが安定している

ここで改めまして、福利厚生を含めてもう一度料亭と個人割烹店を比較してみます。

料亭 個人割烹店
雇用形態 正社員 業務委託
給料  130,000 130,000
(現金支給)
昇給 持ち場/在籍年数によって1万円昇給 年1回10,000円
ボーナス 年2回(半月分ほど) なし
福利厚生 健康保険
雇用保険
厚生年金

まかない

まかない
(法定福利は自己負担)
休暇 週休1.5日 週休1.5日
休憩 30分ほど/日 30分ほど/日
実稼働  400h/月 370h/月

比べて見てみるとわかるのですが、労働環境に関してはさほど変わりはありませんでした。

しかし、料亭(企業)のほうだと法定福利厚生を店舗側で負担してくれる分、手間も金銭面もかなり負担が少なかったです。

 

板前修業中は寮とまかないの法定外福利で生活費コストが下がる

今回ご紹介した料亭と個人割烹店では、双方にて寮とまかないがついていました。

恐らく、地方の個人経営店などでない限りはこの2つはだいたいの飲食店には備わっているように思います。

東京での一人暮らしを、家賃(水道光熱費込)で7万円ほど、食費は自炊をしても3万円程度と想定した場合、10万円は生活コストを削減できているというイメージです。

 

板前修業中の生活は厳しい?最低限の固定費実例を紹介

実際にこのお給料で生活していくためにはどのような出費があるのか、実際のぼくの例をあげます。

家賃 なし
水道光熱費 なし
食費 休日のみ
保険/年金 月1万程度
(料亭の場合は負担なし)
携帯代 5,000円

上記の通り、生活にお金はほぼかかりません。

この他で実際にかかっていたのは

  • 移動費
  • 娯楽費(週末の飲み会など)
  • 板前投資(包丁購入、勉強のための飲食費など)

くらいでした。

板前の給料は額面で見ればかなり安いかもしれませんが、ぼくは毎月5万円以上貯金にまわしつつ、勉強のために料亭に行ったり包丁を購入したりできていました。

 

板前の給料(年収)はあがる?役職・年代別の給料推移の目安

続いて、簡単ではありますが、これまで関わってきた先輩や上司にお伺いしてきた話で、店舗にお勤めしている状態でのざっくりとした昇給の一例もご紹介します

年齢 役職 給料
10代〜 追い回し(下積み) 13万
20代前半 焼き場、八寸、水菓子 15万〜20万
20代後半 脇板(板前補佐)
脇鍋(煮方補佐)
*現場主任クラス
20万〜25万
30代 板場、煮方 30万〜
40代以降 料理長 40万〜

これはあくまでざっくりとした一例なのですが、修行先を変えたりしても、基本的には板場や煮方を担当するところまでいけば、同年代の会社員ほどのお給料は見込めます。

しかし、個人店などの場合だと、店主が上位ポジションを持っていたりするので、この時点で修行先を卒業してまた別の修行先に行ったりすることも多い印象でした。

30代以降はいろんな店舗を修行してまわって独立する方や、そのままどこかの料亭で上位のポジションについてらっしゃる方が多いです。

 

板前の給料(年収)をあげるには

ここまで、板前就業時のお給料や福利厚生についてご紹介してきました。

お給料の面で考えるのであれば、正直個人店よりは料亭などの法人が経営している店舗で働くほうが、福利厚生が充実してるので間違いないといえるでしょう。

しかし、これはあくまでお給料の面のお話なので、実際に独立した際にご自身で店舗を持たれるという目標をお持ちの方は個人店での修行も視野に入れる必要があると言えます。

今回の記事をもとにお伝えできる板前の年収をあげる方法は以下のようなイメージになります。

  1. 20代後半までに、どの調理場でもある程度通用する技術を身につける
    →月収25万円前後
  2. 30代以降に、板場や煮方などの重要なポジションを勝ち取る
    →月収30万〜
  3. 30代後半ほどで独立もしくは板長を視野に入れる
    →月収40万〜

その他、出張料理人として独立したり、料理教室の講師を務めるなど、あくまで料理の腕をもって収入をあげる方法はさまざまです。

ご自身の目指す料理人像を明確にし、料亭や個人割烹店など、自分の目標にあった職場選びをおすすめします。

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BORI
居酒屋・割烹料理店・料亭での現場歴6年の元板前。 関西、関東での幅広い現場経験から実体験に基づいた記事を執筆しています。